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奥村 啓介
シビアアクシデント時の核分裂生成物挙動, p.116 - 121, 2021/05
事故進展解析,内部調査結果(カメラ映像や断片的な線量率実測値),サンプリング分析値などの情報と、燃焼・放射化計算及び放射線輸送計算等の理論計算を組み合わせ、破損および汚染された仮想的な福島第一原子力発電所の3次元プラントモデルを計算機上に構築し、格納容器内の最も確からしい線源・線量率分布を推定するための手法開発を行った。また、格納容器内モデルに配置した放射線検出器の応答計算に基づき、セシウムに汚染された格納容器内で、燃料デブリを探査するために有効な手法を提言した。
石垣 将宏; 安部 諭; 柴本 泰照; 与能本 泰介
Nuclear Engineering and Design, 367, p.110790_1 - 110790_15, 2020/10
被引用回数:14 パーセンタイル:84.32(Nuclear Science & Technology)シビアアクシデント時の格納容器(CV)内の流体や構造物を冷却するための有効なアクシデントマネジメントとして、CVの外面冷却が期待されている。一方、以下のような可能性も考えられる。第一に、シビアアクシデント時に水-ジルコニウム反応により水素ガスが発生し、外表面冷却により水素を含む非凝縮性ガスが蓄積し、密度成層が形成される可能性がある。第二に、非凝縮性ガスの蓄積は熱伝達を低下させ、CVの冷却を阻害する可能性がある。これらの課題については、これまで多くの研究が行われてきた。しかし、外表面冷却によって生じる密度成層挙動や成層崩壊の条件に着目した体系的な検討は十分に行われていない。また、水素の蓄積による伝熱劣化を定量的に評価していない。そこで、実験設備CIGMA(Containment InteGral effects Measurement Apparatus)を構築し、CIGMA設備を用いて容器外面冷却時の格納容器熱流動挙動の実験的研究を行った。さらに、安定な密度成層が維持できる条件を考慮することで、自然対流が密度成層化挙動に与える影響を議論した。
Hamdani, A.; 安部 諭; 石垣 将宏; 柴本 泰照; 与能本 泰介
Energies (Internet), 13(14), p.3652_1 - 3652_22, 2020/07
被引用回数:6 パーセンタイル:18.77(Energy & Fuels)In the case of a severe accident, natural convection plays an important role in the atmosphere mixing of nuclear reactor containments. In this case, the natural convection might not in the steady-state condition. Hence, instead of steady-state simulation, the transient simulation should be performed to understand natural convection in the accident scenario within a nuclear reactor containment. The present study, therefore, was aimed at the transient 3-D numerical simulations of natural convection of air around a cylindrical containment with unsteady thermal boundary conditions (BCs) at the vessel wall. For this purpose, the experiment series was done in the CIGMA facility at Japan Atomic Energy Agency (JAEA). A 3-D model was simulated with OpenFOAM, applying the unsteady Reynolds-averaged Navier-Stokes equations (URANS) model. Different turbulence models were studied, such as the standard k-, standard k-, k- shear stress transport (SST), and low-Reynolds-k- Launder-Sharma. The results of the four turbulence models were compared versus the results of experimental data.
石垣 将宏; 安部 諭; 柴本 泰照; 与能本 泰介
Proceedings of 18th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-18) (USB Flash Drive), p.5927 - 5940, 2019/08
格納容器ベントシステムはシビアアクシデント時における格納容器の過圧を防止するための手段として適用される。ベント時に発生する現象の理解と最適な運用という観点から、格納容器ベント時の水素挙動に関する研究は十分ではない。そこで本研究では大型格納容器実験装置CIGMAを用いて格納容器ベントに関する基礎的な実験を実施した。特に、ベントによる水素輸送に対するベント流量及び初期ガス分布の影響について調査を行った。水素の代替ガスであるヘリウム,蒸気,空気を用いて、初期に容器内に成層を形成し、下部ベントラインからベントを実施した。ベントにより初期に容器下部に存在する蒸気・空気のみが排出され、ヘリウム成層が下方へと拡大していく挙動が観察された。この間、上部のヘリウム濃度は一定であった。最終的には容器内のガス濃度分布は均質化した。今回実施した実験条件では、ベントによる容器内のガスの顕著な混合は観察されなかった。また異なる初期濃度分布に対してもヘリウム成層の挙動に大きな差は見られなかった。
奥村 啓介; Riyana, E. S.; 佐藤 若英*; 前田 裕文*; 片倉 純一*; 鎌田 創*; Joyce, M. J.*; Lennox, B.*
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 6, p.108 - 112, 2019/01
福島第一原子力発電所(1F)の原子炉格納容器(PCV)内における線量率分布の予測手法を確立するため、以下の一連の計算を行った。(1)事故時の燃料組成を得るための燃焼計算、(2)不純物を含む炉内構造物の放射化計算、(3) IRIDによる事故解析の結果に基づくPCV中のCs汚染分布の推定、(4) PCV内の放射性核種の崩壊計算、(5)線量率を得るための光子輸送計算。これらの計算の後、ドライウェル周辺のCs濃度を、IRIDによるPCV調査で測定された局所線量率の結果と一致するように修正した。
市川 正一; 千葉 悠介; 大野 史靖; 羽鳥 雅一; 小林 孝典; 上倉 亮一; 走利 信男*; 犬塚 泰輔*; 北野 寛*; 阿部 恒*
JAEA-Research 2016-021, 32 Pages, 2017/02
日本原子力研究開発機構は、高速増殖原型炉もんじゅのプラント工程への影響を低減するため、現在、原子炉格納容器全体漏えい率試験で用いている塩化リチウム式露点検出器の代替品として、静電容量式露点検出器の検証試験を実施した。原子炉格納容器全体漏えい率試験(試験条件: 窒素雰囲気、24時間)における静電容量式露点検出器の測定結果は、既存の塩化リチウム式検出器と比較して有意な差は無かった。また、長期検証試験(試験条件: 空気雰囲気、2年間)においては、静電容量式露点検出器は、高精度鏡面式露点検出器との比較の結果、「電気技術規程(原子力編)」の「原子炉格納容器の漏えい率試験規程」に基づく使用前検査時に要求される機器精度(精度: 2.04C)を長期間にわたり有することを確認した。
宮原 信哉; 清野 裕; 大野 修司; 小西 賢介
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 5 Pages, 2015/05
CONTAIN-LMRコードは、1982年に米国サンディア国立研究所(SNL)からそのオリジナルコードが導入されて以来、液体金属高速炉の確率論的リスク評価へ適用するために日本原子力研究開発機構(JAEA)において開発されてきた。CONTAIN-LMRコードは、高速炉の炉容器溶融貫通を伴う過酷事故時の格納容器内で起こる物理、化学、放射能状態を予測するための最確統合解析ツールである。また、本コードは事故時に環境中へ放出されるソースタームも予測することが可能である。本コードは、複数セル体系下でのセル間の熱と物質移行を考慮しつつ、事故時に起こるナトリウム燃焼、放射性エアロゾル挙動、ナトリウム-コンクリート反応やデブリ-コンクリート相互作用などのあらゆる重要な現象を相互の影響を考慮しつつ同時に扱うことができる。本論文では、原子力機構での開発経緯を簡単に紹介し、その後計算モデルの概要とコード検証例、コードの適用に関する今後の計画について述べる。
斉藤 和男*; 楠 剛; 石田 紀久
JAERI-Tech 2001-038, 100 Pages, 2001/06
改良舶用炉MRX及び深海調査船用原子炉DRXでは、水を張った原子炉格納容器内に原子炉容器や配管を設置する。これら原子炉容器や配管の内部流体は運転時には高温となるため、格納容器に張った水とは断熱して、熱の放散を防ぐ必要がある。一般のプラントにおける大気中の保温と比べて、水中での断熱方法はいまだ確立された技術とはいえない。配管の水中断熱について、従来方式である二重管とする方法以外の方法について検討し、蒸気層と耐熱プラスチック,ポリイミドを用いた断熱構造を試設計した。また、断熱の成立性を簡便なモデルにより確認した。
仲澤 隆; 菊地 寿樹; 安 和寿; 吉野 敏明; 足利谷 好信; 佐藤 浩一; 箕輪 雄資; 野村 俊文
JAERI-Tech 2001-010, 125 Pages, 2001/03
高温工学試験研究炉(HTTR)は、熱出力30MWの高温ガス試験研究炉として、1998年11月10日に初臨界に達し、現在、放射線監視システムを活用して出力上昇試験における放射線管理データの測定を行っているところである。本報告書は、出力上昇試験、定期自主検査などにおける放射線管理を実施するうえで役立つように関連するHTTRの施設の概要を含めてHTTR放射線監視システムの設計方針、放射線管理設備及び放射線管理計算機システム等についてまとめたものである。
仲澤 隆; 吉野 敏明; 安 和寿; 足利谷 好信; 菊地 寿樹
JAERI-Tech 2001-001, 101 Pages, 2001/02
高温工学試験研究炉(HTTR)は、定格熱出力30MW原子炉出口冷却材温度850の低濃縮二酸化ウラン被覆粒子燃料を用いた「黒鉛減速・ヘリウムガス冷却型」で日本最初の高温ガス試験研究炉として平成10年11月10日に初臨界に達し後、平成11年9月16日から平成12年7月8日の間で出力上昇試験(1)の9MW単独・並列運転を終了し、引き続き出力上昇試験(2)の単独運転による出力上昇中に自動スクラム停止した。本報告書は、今後予定している出力上昇試験及び定期自主検査作業等における放射線レベルの測定評価に役立てるため、これまで実施した出力上昇試験(1)及び(2)'において得られた放出放射線物質濃度、線量当量率などのモニタリングデータをまとめたものである。
神永 雅紀; 寺田 敦彦*; 羽賀 勝洋; 木下 秀孝; 石倉 修一*; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 2000-076, 70 Pages, 2001/01
原研とKEKが共同で建設計画を進めている中性子散乱施設では、大強度陽子加速器から1MWのパルス状陽子ビームを水銀ターゲットに入射させ、核破砕反応により発生した中性子を生命・物質科学等の先端分野の研究に利用する計画である。核破砕水銀ターゲットシステム設計では、ビーム窓等の破損により水銀が漏洩する場合を想定して、その場合にも十分な安全性を確保できるように漏洩時の水銀を容易に回収可能な格納容器一体型構造の概念を提案した。水銀容器の内部構造は、熱流動解析結果に基づき定めた。格納容器はヘリウム容器/重水容器の二重容器により構成し、各容器外側に設けた容器補強剤であるリブを介して各容器を接続する構造とした。本容器構造の成立性については、内圧0.8MPaを付加した静的な構造強度解析により検討した。その結果、容器に生ずる静的な応力は、各容器の表面にリブによる補強を加えることによりSUS316Lの許容応力142.5MPa以下にできる見通しを得た。
楠 剛; 伊藤 俊雄*; 成合 英樹*
日本機械学会2000年度年次大会講演論文集, p.645 - 646, 2000/08
原子炉の受動的な安全設備として検討されている水張格納容器では、高温高圧の一次冷却材がプール水中に放出され、減圧沸騰による蒸発とプール水との直接接触による凝縮に起因した圧力振動を発生する。この圧力振動現象は、蒸気凝縮現象のバブリング、チャギング、凝縮振動(CO)等に対応されて考えることができる。フラッシング振動は、チャギリングに相当する。蒸気の供給よりも凝縮の効果が大きく、オリフィス出口部で形成された蒸気泡が完全に凝縮する。フラッシングは、COに相当する。蒸気の供給が凝縮の効果を上回り、オリフィス出口部で形成された蒸気泡の凝縮は不完全となる。フラッシング振動領域では、一次側が飽和状態の場合、プール側からの圧力波の伝播に伴い、配管内で蒸気の発生と凝縮に起因すると推定される大きな圧力変動が生じる場合がある。
岸田 雅子*; 内田 正治*; 吉岡 直樹*
PNC TJ3678 98-001, 206 Pages, 1998/03
平成4年度からこれまで、システムの簡素化と受動的安全性を重視した先進的なATRプラント概念の構築を目指し、従来のATRをベースに「ATRの特徴を活かす炉心冷却アイデア」を取り入れた要素技術の検討が実施されてきた。本研究ではこれまでの要素技術検討をまとめ、プラント構想、事故シナリオ、主要システム概念、格納容器(配置を含む)について検討し、安全性を向上した、合理的な中小型ATRパッシブ安全炉PS-ATR(以下PS-ATRと称する)のプラント概念を構築した。1要素技術の検討1)1000MWt自然循環型ATR原子炉・冷却系のシステム概念を構築した。2)受動的余熱除去機能を有する重水冷却系のシステム概念を構築した。2プラントシステム概念の構築1)原子炉本体は、上部よりの燃料交換方式として、格納容器の下部に設置したパッシブな安全系により原子炉本体が水づけにできるように、事故後の炉心冷却を確保できるようにした。2)原子炉冷却系は、自然循環型再循環方式とした。ただし、PS-ATRでは2ループとする利点が少ないため、システムが簡素化できる1ループ構成として、環状の蒸気ドラム、下部ヘッダを採用してスペースの有効利用をはかる方式とした。3)安全系の構成は、崩壊熱の除去、炉心への注水がパッシブなシステムで可能なようにして、電源喪失、小漏洩、大漏洩等の事故時のシナリオを検討して容量の設定、システムの成立性を確認した。以下にその構成を示す。ギャップ注水系+静的重水冷却系(崩壊熱除去機能)自動減圧系(減圧機能)蓄圧タンク注水系(注水機能)重力注水系(注水機能)原子炉格納容器冷却系(C/V圧力減圧、崩壊熱除去機能)4)以上の概念の格納容器内配置を検討して配置概念図を作成した。
傍島 眞
IAEA-TECDOC-1002, p.27 - 36, 1998/03
我が国で2000年までに実施が計画されているアクシデントマネジメントに関して、原研がPSA研究の一環として開発・適用してきたTHALES-2コードの事象解析への適用結果をレビューし、その他の知見を加えて、アクシデントマネジメントの実施条件を最適にする観点から、いくつかの提言を行った。事象シーケンスはBWRの代表炉について8つのグループに分類され、それぞれの進展を緩和する策が効果的に機能する条件を考察し、重要性の高いシーケンスに対しより確実なものとする手順に関して検討を行った。さらに、今後明らかにすべき検討課題を整理した。
井上 彰一郎
船の科学, 51(1), p.68 - 74, 1998/01
原子力船「むつ」の実験航海の成果により、原子力を動力とする船舶の実現性が実証され、船の推進エネルギーとしての原子力の優位性が多々証明された。実験航海終了後の「むつ」の原子炉は、原子炉室一括撤去方式により移送し、保管建屋に安全に保管展示して、一般の見学に供している。改良舶用炉の研究開発は、「むつ」の成果を活用しつつ小型で軽量かつ経済性にも優れた舶用炉の開発を目指し、大型船舶用原子炉(MRX)と深海船用原子炉(DRX)の工学設計研究を新しい安全の概念を採用した一体型炉として、要素技術の実験研究等を行いつつ実施してきた。原子力船を実現するということは、単に海上における動力エネルギーの安定確保のみならず、大量高速輸送への対応や大気汚染防止等地球環境保全の上でも非常に意義があり、深海調査、極地調査等の可能性の拡大にもつながる。
楠 剛; 頼経 勉; 石田 紀久
日本原子力学会誌, 40(2), p.135 - 143, 1998/00
被引用回数:1 パーセンタイル:15.03(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究所が設計研究を進めている改良舶用炉MRXは、小型一体型炉であり、冷却材喪失事故に対する工学的安全施設として受動的安全機能を有する水張格納方式を採用している。本格納容器方式では、冷却材喪失事故時に格納容器圧力が上昇して原子炉容器の圧力と等しくなることで、冷却材の流出を停止させる。水張格納容器の設計では、冷却材喪失事故時の圧力挙動を明らかにしておくことが重要であるが、本設計のように受動的な炉心冠水維持を図った格納容器に関する実験例はない。本報告書では、冷却材喪失事故時の水張格納容器内の熱流動現象を実験的に調べ、格納容器圧力上昇の程度及びそれへの影響因子を明らかにし、格納容器圧力上昇の簡便な予測モデルを検討した結果を述べる。
楠 剛; 大久保 哲郎*; 頼経 勉; 安達 雅樹; 石田 紀久
JAERI-Tech 97-046, 56 Pages, 1997/09
水張格納容器及び自然循環方式の崩壊熱除去設備による受動的安全設備を備えた改良舶用炉MRXについて、LOCA解析をRELAP5により行い、格納容器圧力が設計圧力を上回ることなく炉心冠水を維持することが可能な運転範囲を明らかにした。解析では、配管の破断位置、格納容器気相部初期体積等をパラメータとした。その結果、格納容器気相部初期体積は基準値30mを中心に26~36.5mの範囲内に制御する必要があることが示された。また、長期冷却については、RELAP5の計算に加え、簡易計算を行い、非常用崩壊熱除去系統及び非常用格納容器水冷却系統の性能が、炉心冠水維持と格納容器圧力抑制のために妥当なものであることを明らかにした。
not registered
PNC TN1410 97-031, 638 Pages, 1997/08
本書は、新型転換炉(ATR)の安全評価技術について、評価基準の考え方、評価の方針、解析・評価手法およびその妥当性等について、学識経験者の審議を通して集大成したものである。ATRの安全評価技術は、設計基準事象を評価するための「運転時の異常な過渡変化解析コードシステム」および「事故解析コードシステム」として体系化されており、前者は反応度投入事象解析コードおよびプラント過渡事象解析コードから、また後者は、大破断事故解析コード、中小破断事故解析コードおよび原子炉格納容器圧力解析コード等から構成している。これらの解析コード群には、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」)大洗工学センターに設置された重水臨界実験装置(DCA)、伝熱流動試験装置(HTL)、部品機器試験装置(CTL)及び安全性試験装置(SEL)等の実規模試験で得られた試験データに基づいて開発した各種相関式やモデルを組み込んでいる。また、これらの解析コードは「ふげん」における起動試験や前述の実規模試験による解析、国際的なベンチマーク解析等を通じて、その妥当性を確認している。さらに、ATRの潜在的リスクや安全余裕度に関する理解を深めると共に、設計基準事象を超える事象が発生した場合のアクシデントマネジメント手法を研究するために、シビアアクシデント研究および確率的安全評価手法に関する研究を実施しており、本書ではこれらについても研究の成果を集大成している。なお、本書のATR実証炉に係わる解析コードの試験による検証等には、通商産業省委託事業である新型転換炉技術確証試験の成果を用いている。
山口 隆司
PNC TN1410 97-028, 14 Pages, 1997/07
新型転換炉(ATR)の安全評価事象の内、「事故」の「原子炉格納容器内圧力、雰囲気等の異常な変化」に分類される事象における格納容器内の圧力、温度の評価には、原子炉格納容器内圧力解析コードCONPOLを用いている。ここでは、解析コードの機能及び解析モデルを示す。1.1解析コード本コードは、原子炉冷却材喪失事故が発生した場合における高温高圧の冷却材流入による格納容器内圧力上昇、温度上昇を評価する。そのため、本コードは下記の計算機能を有している。(1)原子炉冷却設備からのブローダウン量(2)原子炉冷却設備からの放熱(3)格納容器壁への蒸気凝縮熱伝達(4)格納容器スプレイ系によるスプレイ冷却効果1.2解析モデル本コードでは、原子炉冷却設備、格納容器、蒸気放出プールをモデル化し、それぞれに対し質量保存の式、エネルギ保存の式を基礎に、圧力、温度及び質量変化を求めている。
傍島 眞
日本原子力学会誌, 39(7), p.560 - 562, 1997/00
本会合は、格納容器性能改善に係わる確率論的安全評価(PSA)のレベル2(炉心損傷事故及び格納容器影響シーケンスまでの評価)の各国の利用経験をレビューし、問題点を整理し、炉型の異なるプラントへの現用の手法の適用能力及び限界を明確にするとともに更なる開発のための奨励事項を議論する、との意図のものに開催された。会合において、各国からの利用経験の報告を基に、格納容器性能改善につながるアクシデントマネージメント策や、他の観点からのさらなるPSAレベル-2の利用に関する奨励事項が整理された。軽水型炉のほかに東欧諸国のWWER型炉や管型炉特有の問題を取り上げ、その安全評価に軽水型炉で開発した手法を適用する際の留意点を整理している。これらの共同作業を通じて、結果的に、手法や事象に関する知識をより多く有する国からそれの少ない途上国への技術力の移転に会議が貢献した状況を紹介した。